スペイン語の冠詞には英語と同様、「定冠詞」と「不定冠詞」があります。
冠詞も日本語にはない概念ですが、まずは基本をマスターしましょう。
説明にあたって名詞の性と単数形・複数形の概念が出てきますので、その二つの記事をまだ読まれていない方はそちらも参照してください。
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冠詞とは?
冠詞は名詞の前につけられ、つけられた名詞の性や数(単数なのか複数なのか)を示すもので、それ自体にほとんど意味はありません。
冠詞がつけられていることで、その名詞が文脈の中で初めて登場するものなのか、すでに出てきたものなのか、あるいは話し手と聞き手がどちらもピンとくるものなのかを示します。
名詞それ自体は概念を表すだけですが、冠詞をつけることで具体的なものを指し示すことができるようになります。
スペイン語の定冠詞
スペイン語の定冠詞には、つけられる名詞の性と数によって以下の4通りの形が存在します。
定冠詞は、話し手と聞き手のどちらもが、どれについて話しているか特定できている名詞につけられます。
例)El otro día compré un libro. El libro fue interesante.
(この前、本を一冊買ったの。その本が面白かったんだよ。)
「El libro(その本)」というのは、先に言及している「一冊の本」だというのが、聞き手に(もちろん話し手にも)理解できる状態ですよね。
だから、「その本」といいたいときにはlibro(本)にel(定冠詞)をつけて、el libroとするわけです。
これは文章やコミュニケーションの実際の文脈で先に現れたものに言及するから、お互いが何について話しているか特定できているということがわかりやすいです。
では、次の発言はどうでしょうか。
例)El otro día compré un libro. El libro fue interesante. Oye, ¿me puedes pasar la salsa?
((二人がテーブルを囲んで食事しながら会話をしている)この前、本を一冊買ったの。その本が面白かったんだよ。(話し手がテーブルの上に置かれているソースを見ながら)ねえ、そのソースを取ってくれる?)
この場合、「la salsa(ソース)」は会話の中で初めて出てきたわけですが、話し手と聞き手がおかれている状況から、どのソースを指すかは特定されることがわかります。
なので、このような場合も、salsa(ソース)にla(定冠詞)をつけて、la salsaとするのです。
定冠詞を日本語に訳すときには基本的に「その」とすることが多いですが、先に書いたとおりそもそも言葉として表せるような意味ではないので、あまり訳し方にとらわれなくてもよいと思います。
スペイン語の不定冠詞
スペイン語の不定冠詞には、定冠詞と同様、つけられる名詞の性と数によって以下の4通りの形が存在します。
不定冠詞は、つけられる名詞が話し手にとっては特定されるが、聞き手にとっては特定されていない場合につけられます。
先の例で考えてみましょう。
例)El otro día compré un libro.
(この前、本を一冊買ったの。)
この文章をいうときの、「un libro(一冊の本)」は、話し手にとってはもちろんどの本か特定されているわけですが、聞き手は初めてこの話を聞くので、何の本について話しているのか特定できません。
このような時に、libro(本)にun(不定冠詞)をつけて、un libroとします。
では、次の例はどうでしょう。
例)¿Hay una cafetería por aquí?
((道行く人に尋ねて)このあたりに喫茶店はありますか?)
このように言う場合、話し手はまだ「cafetería(喫茶店)」があるのかないのか知らないので、あったとしても、もちろんどの喫茶店なのか特定できていません。
こういう場合、cafetería(喫茶店)にuna(不定冠詞)をつけて、una cafeteríaとします。
話し手がどれについて話しているのか特定できない場合や特定する必要がない場合にも、不定冠詞が用いられます。
また、数を表現したいときも不定冠詞を使います。
例)Voy a ir a comprar un libro (unos libros).
(本を一冊(何冊か)買いに行くんだ。)
この場合は、un libro(一冊の)やunos libros(数冊の本)とします。
un/unaは「一つの」や「ある」、unos/unasは「いくつかの」というように日本語に訳すことが多いですが、定冠詞と同様、あまり訳にとらわれる必要はないと思います。
まとめ
始めに紹介したように冠詞は日本語には存在しない概念のため、なかなか捉えづらいものです。
ここでは基本的用法について説明しましたが、これらがすべてというわけではありません。
詳しい説明は文法書にも載っていますが、実際のスペイン語に触れて、実例をもとに感覚をつかんでいくことが一番の近道だと思います。
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執筆者:Rika (Instagram)
監修:りゅうや(Instagram)